山梨9条の会が県内各地の9条の会や安倍改憲阻止へ志を共にする個人・団体に呼びかけて開催した講演会・交流会は、会場の定員を大幅に超える150人以上の参加者が集い、渡辺先生の筋道の明快なお話と、県内各地の9条の会の創意工夫にあふれた3000万署名の取り組み報告で、安倍改憲阻止への思いを新たにしました。
(1) 安倍首相はなぜ9条改憲に執念を燃やすのか
伊藤洋世話人の主催者挨拶に続いて登壇した渡辺先生は、安倍首相の9条改憲への執念から話を始めて、そこには、
①アメリカのオバマ政権、トランプ政権から「ともに血を流せ」という強い圧力をうけていること、
②日本を軍事大国として復活させたいという安倍首相の特異な野望があること
を説明した。
そして、安倍首相の望む日本の軍隊の海外での武力行使にはどうしても憲法9条、とくに2項(前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。交戦権は、これを認めない)という規定が邪魔である。
①アメリカのオバマ政権、トランプ政権から「ともに血を流せ」という強い圧力をうけていること、
②日本を軍事大国として復活させたいという安倍首相の特異な野望があること
を説明した。
そして、安倍首相の望む日本の軍隊の海外での武力行使にはどうしても憲法9条、とくに2項(前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。交戦権は、これを認めない)という規定が邪魔である。
そこで安倍政権は、2014年の解釈改憲を先行させ、2015年には戦争法(安保法制)を強行採決で成立させた。だが、9条2項の存在が、思い通りの海外での武力行使にはどうしても足かせになることを再認識し、改めて改憲を狙いにすえた。
(2) 安倍首相はなぜ5・3改革提言をうちだしたのか
昨年5月3日、安倍首相は日本会議が開催した「公開改憲フォーラム」にビデオメッセージを送り、その中で、「私は少なくとも、私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法にしっかりと位置づけ、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論をなくすべきである、と考えております」と言い切った。
このメッセージを出した背景には、戦争法反対運動の中で、60年安保闘争以来の「市民と野党の共闘」(「戦争させない!9条壊すな総がかり行動実行委員会」)が実現して、安倍改憲の壁となっていることがある。
そのために、自民党内でずっと言われていた9条2項を削除して自衛隊を軍隊とする案を引っ込めて、公明党の言っていた9条はそのままにして自衛隊の存在だけを書き込むという提案(加憲案)になった。
(3) 安倍9条改憲の危険性-自衛隊はどう変わる?
いま国民の8割以上は自衛隊を合憲だと考えている。そこには、災害復旧活動に汗を流す自衛隊員の姿と、海外には行っても敵の血をながすことはしない自衛隊像がある。
安倍首相の念願である「自衛隊による海外での武力行使」のためには、どんな形でも憲法上に自衛隊の存在を書き込み、海外での武力行使が認められるようにしたいという狙いがある。
安倍首相の念願である「自衛隊による海外での武力行使」のためには、どんな形でも憲法上に自衛隊の存在を書き込み、海外での武力行使が認められるようにしたいという狙いがある。
(4) 安倍首相が解散・総選挙に踏み切ったねらいと結果
昨年7月の小池ブームの中での都議選で自民党が大敗、5・3提言実行が危うくなった。しかし、同時に、民進党も大敗し、市民と野党の共闘の見直しを掲げる前原氏が民進党代表になり、小池都知事が保守新党づくりにふみきるなどの改憲へ有利な状況も生まれた。そこで、安倍首相は解散・総選挙に踏み切り、自公で3分の2を制した。
だが、この選挙では、市民と野党の共闘に軸足を置く立憲民主党が野党第一党になるという結果が生まれた。これは安倍改憲戦略にとっては予想外の展開だった。
(5) 解散・総選挙をふまえた安倍首相の改憲方針と隘路
野党第一党というのは、改憲プロセスで大きな役割をはたす。憲法審査会での提案から始まる改憲手続きでは、この存在を無視するわけにはいかない。立憲民主党が野党第一党になるという意外な結果は、安倍改憲の隘路となった。
安倍改憲にとって一番の隘路は時間がないことだ。2019年4月には統一地方選挙と天皇代替わりがあり、7月には参院選がある。2018年中には改憲の調整を終えて、2019年1月までに発議したいが、これを強行採決でやれば国民投票の結果にマイナスにはねかえる。
しかも、最近の働き方改革の挫折、森友問題の公文書改ざんなどで、内閣支持率は危険水域に達している。
(6)かつてない市民の共同・3000万署名で安倍改憲を阻もう!
3000万署名で安倍改憲を阻止するために、「総がかり行動実行委員会」はさらに運動を幅を広げて、自民党・公明党支持者の一部まで「安倍改憲」だけは反対しようという動きを作るために、「全国市民アクション」を立ち上げた。そして、この行動には、2004年の結成以来いかなる運動にも団体としては加わってこなかった「9条の会」が加わる決意をした。
渡辺先生は、この新たな段階の運動において、3つの力点を挙げた。
① 地域で目標をもって3000万人署名を
② 運動の目標は発議阻止
③ 9条自衛隊加憲の危険性を市民に訴える
県内9条の会交流会
講演に続いて県内9条の会の交流会に移り、次の団体が各地の活動報告を行いました。
① 山中湖9条の会
昨年活動を始めた。原則月一回の学習会、署名活動などを行い、これまで16回の活動を行った。参加者は平均10名前後。
② 女性9条の会
今回の3000万人署名には、従来にない反響があると感じている。
③ 甲府9条の会
毎月11日に甲府駅北口で署名活動。4月29日には「第10回甲府・憲法のつどい」を甲府市北公民館で予定(浅倉睦子さん「働き方改革と日本国憲法」)。
④ 甲斐市9条の会
昨年から活動開始。甲斐市成人式会場のアピオ前、竜王駅前などで署名活動。
⑤ 山梨市9条の会
南アルプス市の前回の報告に学んで個別訪問による署名活動を展開。
⑥ 山梨キリスト者9条の会
DVD(「イエスと歩む沖縄」、「戦争体験とキリスト者」)鑑賞、パレスチナ問題の講演会、今年2月11日には第37回歴史に学び平和を考える2・11集会で「戸田帯刀神父射殺事件から“信教の自由”を考える」(佐々木宏人さん)、安倍改憲NO全国統一署名運動などに参加。
⑦ 南アルプス市9条の会
引き続き戸別訪問を展開。その傍ら、各自がさまざまな形で署名を集めている。
渡辺先生の講評