山梨9条の会が担当団体となって9月19日の午後に開催された「戦争させない・9条壊すな!山梨行動実行委員会」主催の特別集会は、ぴゅあ総合の大会議室の定員150名をはるかに超える240名ほどの参加者が結集、戦争法廃止への熱気あふれる集会となりました。
会の冒頭、私たち市民団体の働きかけで野党統一候補となり、参議院山梨選挙区で見事当選した宮沢ゆかさんが、「野党統一議員の宮沢です」という挨拶から始めて参院議員として平和実現への決意を語り、参加者から大きな拍手を受けました。宮沢さんは、集会のほぼ最後まで参加して、熱心に学んでいました。
講演の第一は、椎名慎太郎本会代表世話人が「自民党改憲案の本質と緊急事態条項」というテーマで、安倍政権が狙っている改憲の柱となる2012年自民党改憲草案を分析して、その本質がどのようなものか、そして、安倍政権が改憲への足がかりとして早期に提案してくると思われる緊急事態条項の危険性について語りました。
自民党改憲草案について4点の問題が指摘されました。
◆第一に、前文が「日本国は、・・・」と国家を前面に出していること。現行憲法は、「日本国民は・・・」と主権者である国民を前面に出しています。改憲草案は、国家が先ずあって、それが国民を従えているという、上から目線の構図であること。
◆第二に、改憲草案では、現行憲法が「個人」と言っている所を「人」と言い換えています(13条)。現行憲法は、戦前戦中に国民が国家に利用されたことをふまえて、国家に対するものとして、かけがえのない「個人」がいるのです。改憲草案を作った人たちは、「個人主義」を嫌います。だが、原理的には主権者である日本国民が生存と幸福実現のために権限を委ねるのが国家機関であるということを確認すべきこと。
◆第三に、現行憲法が「公共の福祉」と言っているところを、改憲草案は「公益及び公共の秩序」と言い換えています。これは似ているようで大きな違いがあります。公共の福祉というときの「公共」はみんなお互いという意味です。だから「公共の福祉」というのは、自分の権利主張で他の人の権利を妨げないようにというのが、人権に内在する制約だと考えています。ところが、「公益及び公共の秩序」という制約原理は、国民を上から見下ろした支配者の論理です。そこには、お上の都合があれば、人権の制限はいくらでも思い通りにできるという意味が隠されていること。
◆第四に、安倍政権がとりあえず改憲の手始めと考えている緊急事態条項は、事前または事後に国会の単純多数決で承認されれば、政府がいとも簡単に緊急事態を宣言することが可能となっていて、そこでは政令によって法律を変えることが可能であること。場合によっては、ナチスの全権委任法のようなものを制定して、独裁体制を確立することも不可能ではないこと。そして、最後に、このような世界標準からとんでもなく離れた改憲草案を、マスコミがあまり批判していないところに危機感を感じると付け加えました。
講演の第二は、日本ボランティアセンターの元事務局長で、韮崎市在住の清水俊弘さんが「南スーダンの現状と駆けつけ警護」というテーマで、多くの現場写真をパソコンで映写しながら、安倍内閣が戦争法を無理に動かすために計画している南スーダンへの自衛隊の派遣が無用などころか、現地の住民にとって、そして現場に入っている各国のNGOメンバーにとって、有害であることを分り易く説明しました。
南スーダンは、2011年7月にスーダン共和国の南部10州が分離独立して誕生した国で、北はスーダン、東はエチオピア、南東にケニア、ウガンダ、南西にコンゴ民主共和国、西に中央アフリカと国境を接する内陸国だ。以前スーダンでは、アラブ系イスラム教徒が多い北部が、キリスト教徒が多い南部を支配する構図が定着していたため、23年間の内戦と6年間の移行期間を経て、住民投票の結果として実現した分離独立はアフリカの新たな希望でした。移行期間に停戦監視を行ってきた国連スーダンミッション(UNMIS)は、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)になりました。
だが、豊富な石油資源があることと、民族対立などが原因で、大統領派と前副大統領派が対立、2013年12月以降武力紛争が起きています。戦闘は国内各地に広がり、数万人が死亡し、230万人が避難しています。国内はどこが安全でどこが危険といえない混乱状態で、最近も7月に本格的戦闘があり、270人余りの死亡者が出ています。首都ジュバでPKOに参加している自衛隊宿舎の隣でも銃撃戦があり、流れ弾が宿舎に飛び込んできたという。当然、日本のPKO派遣の前提条件は失われている。さらに、実力部隊を南スーダンに派遣すれば、戦闘に巻き込まれる危険性があります。下手に「駆けつけ警護」などと称して実力行使をすれば、それは政府軍ないし反政府軍への軍事協力と受け取られる可能性が強く、これは、現地で必死の援護活動をしている日本人NGOへの反感を生むことにもなりかねません。清水さんによれば、このような任務のために自衛隊を派遣する必要は全くないし、有害無益であるということです。
ちなみに、集会の翌日の9月20日に、北杜市議会は、「駆けつけ警護は大きな任務の変更になる」と指摘し、「若者の命を大切にすることが地方自治体の任務である」ことから、「駆けつけ警護」を自衛隊の新任務とすることに反対するという趣旨の意見書を可決しました。
最後に、「戦争させない・9条壊すな!山梨行動実行委員会」の深沢久事務局長が今後の闘いについて、「9条を守り、安保法・戦争法を廃止させること」を趣旨に県内の様々な団体・個人などと共同しての行動を呼びかけ、具体的には、
などの提言を行い、拍手で参加者が賛同の意思を表明しました。
会の冒頭、私たち市民団体の働きかけで野党統一候補となり、参議院山梨選挙区で見事当選した宮沢ゆかさんが、「野党統一議員の宮沢です」という挨拶から始めて参院議員として平和実現への決意を語り、参加者から大きな拍手を受けました。宮沢さんは、集会のほぼ最後まで参加して、熱心に学んでいました。
講演の第一は、椎名慎太郎本会代表世話人が「自民党改憲案の本質と緊急事態条項」というテーマで、安倍政権が狙っている改憲の柱となる2012年自民党改憲草案を分析して、その本質がどのようなものか、そして、安倍政権が改憲への足がかりとして早期に提案してくると思われる緊急事態条項の危険性について語りました。
自民党改憲草案について4点の問題が指摘されました。
◆第一に、前文が「日本国は、・・・」と国家を前面に出していること。現行憲法は、「日本国民は・・・」と主権者である国民を前面に出しています。改憲草案は、国家が先ずあって、それが国民を従えているという、上から目線の構図であること。
◆第二に、改憲草案では、現行憲法が「個人」と言っている所を「人」と言い換えています(13条)。現行憲法は、戦前戦中に国民が国家に利用されたことをふまえて、国家に対するものとして、かけがえのない「個人」がいるのです。改憲草案を作った人たちは、「個人主義」を嫌います。だが、原理的には主権者である日本国民が生存と幸福実現のために権限を委ねるのが国家機関であるということを確認すべきこと。
◆第三に、現行憲法が「公共の福祉」と言っているところを、改憲草案は「公益及び公共の秩序」と言い換えています。これは似ているようで大きな違いがあります。公共の福祉というときの「公共」はみんなお互いという意味です。だから「公共の福祉」というのは、自分の権利主張で他の人の権利を妨げないようにというのが、人権に内在する制約だと考えています。ところが、「公益及び公共の秩序」という制約原理は、国民を上から見下ろした支配者の論理です。そこには、お上の都合があれば、人権の制限はいくらでも思い通りにできるという意味が隠されていること。
◆第四に、安倍政権がとりあえず改憲の手始めと考えている緊急事態条項は、事前または事後に国会の単純多数決で承認されれば、政府がいとも簡単に緊急事態を宣言することが可能となっていて、そこでは政令によって法律を変えることが可能であること。場合によっては、ナチスの全権委任法のようなものを制定して、独裁体制を確立することも不可能ではないこと。そして、最後に、このような世界標準からとんでもなく離れた改憲草案を、マスコミがあまり批判していないところに危機感を感じると付け加えました。
講演の第二は、日本ボランティアセンターの元事務局長で、韮崎市在住の清水俊弘さんが「南スーダンの現状と駆けつけ警護」というテーマで、多くの現場写真をパソコンで映写しながら、安倍内閣が戦争法を無理に動かすために計画している南スーダンへの自衛隊の派遣が無用などころか、現地の住民にとって、そして現場に入っている各国のNGOメンバーにとって、有害であることを分り易く説明しました。
南スーダンは、2011年7月にスーダン共和国の南部10州が分離独立して誕生した国で、北はスーダン、東はエチオピア、南東にケニア、ウガンダ、南西にコンゴ民主共和国、西に中央アフリカと国境を接する内陸国だ。以前スーダンでは、アラブ系イスラム教徒が多い北部が、キリスト教徒が多い南部を支配する構図が定着していたため、23年間の内戦と6年間の移行期間を経て、住民投票の結果として実現した分離独立はアフリカの新たな希望でした。移行期間に停戦監視を行ってきた国連スーダンミッション(UNMIS)は、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)になりました。
だが、豊富な石油資源があることと、民族対立などが原因で、大統領派と前副大統領派が対立、2013年12月以降武力紛争が起きています。戦闘は国内各地に広がり、数万人が死亡し、230万人が避難しています。国内はどこが安全でどこが危険といえない混乱状態で、最近も7月に本格的戦闘があり、270人余りの死亡者が出ています。首都ジュバでPKOに参加している自衛隊宿舎の隣でも銃撃戦があり、流れ弾が宿舎に飛び込んできたという。当然、日本のPKO派遣の前提条件は失われている。さらに、実力部隊を南スーダンに派遣すれば、戦闘に巻き込まれる危険性があります。下手に「駆けつけ警護」などと称して実力行使をすれば、それは政府軍ないし反政府軍への軍事協力と受け取られる可能性が強く、これは、現地で必死の援護活動をしている日本人NGOへの反感を生むことにもなりかねません。清水さんによれば、このような任務のために自衛隊を派遣する必要は全くないし、有害無益であるということです。
ちなみに、集会の翌日の9月20日に、北杜市議会は、「駆けつけ警護は大きな任務の変更になる」と指摘し、「若者の命を大切にすることが地方自治体の任務である」ことから、「駆けつけ警護」を自衛隊の新任務とすることに反対するという趣旨の意見書を可決しました。
最後に、「戦争させない・9条壊すな!山梨行動実行委員会」の深沢久事務局長が今後の闘いについて、「9条を守り、安保法・戦争法を廃止させること」を趣旨に県内の様々な団体・個人などと共同しての行動を呼びかけ、具体的には、
- 毎月19日行動の継続
- 戦争法の発動を許さないための行動(署名、請願、集会など)
- 自民党改正草案の学習会などの憲法を守る学習運動を進める
- 近い将来に想定される衆議院選挙の小選挙区で野党統一を求める、参院選挙での県内4党合意の積極的推進
- 県内各地でも護憲・9条守れの運動が推進されるように力を出し、地域の運動交流の場も可能な限り設けていく
などの提言を行い、拍手で参加者が賛同の意思を表明しました。