本日未明、自民、公明の両党は参議院本会議において、国民の多数が反対、あるいは理解不可能としているにもかかわらず、いわゆる安全保障法制案、私たちの呼び方では「戦争法案」の強行採決を行い、法案を成立させた。
この戦争法案は、自衛権の行使(これは武力行使であり、戦争をするということである)を専守防衛に限るというこれまでの憲法9条の解釈を、内閣の判断だけで180度変更し、アメリカに求められたら世界中のどこでも出て行って戦争を行うことができことを目的とするものである。
ほとんどの法律家は、このような解釈変更は国民の同意を必要とするから、きちんと憲法改正手続をすべきであると考えており、元最高裁判所長官までそのように意見表明している。
しかるに安倍政権は、憲法改正が国民多数の反対で不可能であることを予期して、憲法の予定していない解釈改憲という不正な手段でこの法案を合憲であるかのように装い、安全保障体制を大きく改悪した。
これは現行憲法のよって立つ立憲主義を破壊する暴挙であり、絶対に許すことができない。
与党側は、この法案審議に200時間以上が費やされていることを採決の理由にしているが、安倍首相、中谷防衛相ら政府の答弁は、くるくると変わり、丁寧な説明をしたとは到底いえない。
要するに、この法制は、やろうとすれば何でも出来るシステムを作ることが目的であったと考えるしかない。
これは、議会主義を無視し、民主主義を根底から破壊するものである。
これを許せば、我が国の政府が戦前戦中と同じ専制政治に走る危険性さえ感じる事態である。
この法制については、全国各地で違憲訴訟が提起され、違憲判決が続出するであろう。
そうなれば、この安保法制は事実上機能できなくなる。国民多数の疑問を置き去りにしたツケはこのような形で必ずや政府に苦汁を飲ませることになると信じる。
われわれ「山梨9条の会」は、アジアにおける多くの人々に犠牲を強いた15年戦争の反省のうえに成り立っている憲法9条を守り抜き、人々が平和のうちに暮らすことのできる環境を守るために山梨県民により結成された会である。
このような本会の趣旨目的からするならば、今回の強行採決・成立は決して容認することはできず、強く抗議するとともに、この法制の撤廃をめざして今後も全力を尽くすことを宣言するものである。
2015年9月19日
山梨9条の会
(代表世話人 椎名慎太郎)